■今回の作例/「ボルト」について  コミックス4巻のトビラ絵をモチーフにアレンジしました。雰囲気重視で 造っていますので、好みの別れるところでしょう。 大きさは1/12くらいで、 いつものようにニューファンド製。ディティールなどに鉛板を使いました。 ベースはジャンクパーツ・コード・パイプなどを使い、でっちあげ造形。 ■原型師  ガレージキットなどの原型(元型)を造るひとの事を原型師といいます。 毎日紙粘土やパテを使い、色々なキャラクターやメカを立体物にしてゆく のが仕事です。原型師は、趣味がこうじてそのまま仕事にしてしまったひと が多いです。読者のみなさんと違う点は、一日中模型の事を考えていられる 事でしょうか? ■これから  ガレージキット畑の私達は今まで、“所詮工業製品であるプラモデルに魂の 入ったガレージキットが劣るはずはない”と信じ、自分たちのしてきた事・ やろうとする事に対し誇りをもっていた訳ですが、「パーフェクトグレート GUNDAM」を見るに、“やすくて手ごろ、そこそこの出来のプラモデル”、 “高いがハイクオリティー、稀少性で勝るガレージキット”といった従来の 認識を改めざるを得なくなりました。  工業製品としての完成度はもちろんのこと、実際手にとって動かしてみるに、 これには明確なビジョンや思いがきちんと入っていると感じました。自分たちが とうの昔にそっぽを向いてしまったプラモデルの世界がかくも魅力的なものを 生み出す環境や人材が集う場になっていた事を知り、少しうらやましく思いま した。  今、自分たちのいるガレージキットの世界は、ひと昔前のプラモデルのように 数・種類ともに凶悪なまでの拡大を進めています。唯一のアドバンテージだった 手工芸品としての魅力を失いながら...。  とはいえ、微妙なフォルムや面構成の必要なフィギュアなどはまだまだ ガレージキットの独壇場です。が、これもガチャポンやクレーンゲームに脅か されつつあるのも認めざるを得ませんが。  これからは、微妙なしぐさや演出により、ドラマを感じさせる作品づくりを 目指し、持てる技術や知恵を絞り、作品に注いでゆかねばと思う今日このごろ です。 ■立体について  御多分にもれず私も子供の頃、超合金・ガンプラなどのブームの洗礼を受け、 次から次に発売される新製品を欲望の赴くままに買っては作る(遊ぶ)の繰り 返しでした。その頃それら商品については、何となく“「キカイ」が作ったもの” と思い込み、ひとの手や思いが形になったものだと理解した(気付いた)のは、 ずっと後になってからでした。  現在、アクションフィギュアやガチャポンなど、キャラクタートイの大ブーム ですが、それら一つ一つはいろんなひとの手や労力、思いが形になってみなさんの 手に渡っている訳です。もちろん、元になったマンガやアニメもしかりです。  だから、ずっとずっと大切にしてほしいです。 大好きな「立体」が、いつか 飽きられ捨てられたり「ゴミ」になってしまわない様、いつまでも心に残るような 立体を造りたいです。